石原友明展|蠅とフランケン

会期|2021年12月4日(土) — 29日(水)
会場|MEM  map
電話|03-6459-3205
時間|13:00 – 19:00
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
作家在廊日|12月4日、12月17日

 

石原は、様々な素材や手法を用いながら、長年「自画像」にとり組んでいる。それは自身の身体を、近代美術史でなぞりながら検証する試みでもある。2016年に開催した『拡張子と鉱物と私。』では、自身の頭髪をデジタル化し、抽象絵画として再構成する試みを行った。頭髪のデータに新しい身体としてカンヴァスを与えたのだ。それは、石原のもうひとつの身体である。同じ個展で、石原は3Dスキャンした自身の身体をいくつかに切り分け、各部位をスライス状の板を重ねることで立体として再構成し、その作品に《corpus》(死体、集積)という題名をつけた。

本展は、この5年前のプロジェクトをさらに発展、展開させたもので、『蠅とフランケン』と名付けられることになった。《corpus》シリーズの新作は、3Dプリンタによって、大型化された身体のパーツが直接出力され、無造作に積み上げられる。新しく与えられた身体は、展覧会名にあるように、狂気の科学者フランケンシュタインが、人間の死体をつなぎ合わせて作り上げた人造人間の神話を思い起こさせる。その生きている死体に群がるかのように、蠅の死骸から写し取られたフォトグラムも《corpus》に寄り添うように展示される。そこに、90年代より制作している身体の延長としての革の彫刻のシリーズの《Ectoplasm》が加わる。その異形の彫刻もまた、動物の死体から採取された皮から作られるのだが、石原自身の身体に実際に「装着」される写真によってその使用方法が示される。そこでもまた死と生の接続が示される。作品はどれも身体と死のイメージに彩られているが、石原はそれらを、近代美術史が打ち立てた美学の残滓、モダニズムの死体だという。ゾンビとしての作品が、新たな身体を獲得して自ら立ち上がるとき、未来へ向かうもうひとつの美術の地平もまた立ち上がる。

 

略歴
1959年大阪生まれ。1984年京都市立芸術大学美術学部大学院造形構想修了。80年代に写真やインスタレーションを含めた複合的な手法をもって登場し注目を集め、「ヴェニス ビエンナーレ・アペルト’88」へ参加や、栃木県立美術館(1998年)、西宮市大谷記念美術館(2004年)で個展を開催するなど国内外で発表。近年の主な展覧会に2017年個展「鏡と穴-彫刻と写真の界面」ギャラリーαM(東京)/「Japanorama 1970年以降の新しい日本のアート」ポンピドゥ・センター・メッス(フランス)、2018年「起点としての80年代」金沢21世紀美術館、他国内巡回/個展「三十四光年」MEM(東京)、2021年「フォトグラフィック・ディスタンス」栃木県立美術館、等。