MEM(Multiply Encoded Messages) は1997年、石田克哉によって大阪の四天王寺で設立された。その後江坂に移転、個人画廊としてしばらく運営された後、2003年、大阪、北浜の大正11年に建てられた登録有形文化財の新井ビル4階に移転、現代美術を紹介する画廊を開く。同年オープニング展として、森村泰昌の初期作品を初めて紹介する「卓上のバルコネグロ」展、石原友明の真空の彫刻を展示した「SCOTOMA」展、松井智惠の同ビル内で撮影した映像によるインスタレーション「ヒマラヤ」展を続けて開催する。

このように、画廊での展覧会プログラムは、80年代に台頭した関西の代表的作家の紹介を中心に出発し、そこを核に現代美術の紹介を続けている。2010年、大阪、北浜から東京、恵比寿のナディッフアパートに移転、現在に至る。画廊の東京移転と前後して、北山善夫、三島喜美代、児玉靖枝など関西では長い実績がある作家とともに、映像を扱う山口典子や戸島麻貴などのゼロ年代の作家、須藤絢乃、谷原菜摘子などの2010年代に出てきた若手作家も加わる。また、北野謙、大森克己、元田敬三、シャルル・フレジェやアントワン・ダガタ等国内外で活躍する現代写真家の紹介プログラムを充実させている。加えて牛腸茂雄没後30周年に、代表作を二部構成で懐古する展覧会を開催し、コンポラ写真の代表作家と言われる牛腸の仕事を振り返った。90年代半ばに、戦前に活躍した椎原治の前衛写真との出会いがあり、椎原が属していた丹平写真倶楽部も含め、戦前戦後にかけて前衛写真運動に関わった写真団体、周辺の写真家等の調査を始める。それ以来日本近代写真史上重要な仕事を残した写真家や団体、とくに未だ詳細が明らかになっていない個人や団体に焦点を絞った展覧会を企画している。重要な企画としては、1930年芦屋カメラクラブを設立した中山岩太のモダンプリントによるポートフォリオ制作と展覧会、浪華写真倶楽部の戦後初期の活動に焦点を当てた展覧会、ミシェル・タピエにより欧州で墨象の作品が紹介された大西茂の写真作品の紹介、京都の前衛写真家集団K・P・Sを紹介する展覧会などがある。

画廊の方針として、現代作家については、作品が初めて発表される現場を共同で作り上げ、できる限り長期的に作家の仕事をサポートする。そして、作品を内外の美術館や公的機関に納めることで、後世に渡って研究、公開されることを重要視する。また作家の活動記録をアーカイブ化することで次世代につなげていく。

近代の作家については、当時の仕事を調査し再検証していくことを基本にする。当時の社会との関係のなかでどう作品が生み出され、変化し発展していったか、それが最終的に美術史や写真史のなかで、どのような位置づけと意味を持つかということを検証していく。

画廊外での活動としては、パリフォト、AIPAD、アートバーゼル香港等国内外のフェアに参加している。日本現代美術振興協会(APCA)、AIPAD(国際フォトアートディーラー協会)、日本芸術写真協会(FAPA)、日本現代美術商協会(CADAN)の会員である。

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