Anima/Animus

アニマとはラテン語で「魂」を意味します。

後に心理学者のユングが、「Anima (アニマ) 男性の無意識内にある女性的な側面。Animus (アニムス) 女性の無意識内にある男性的な側面。」という概念として、その言葉を用いるようになりました。

いずれも、人間が社会生活の中で無意識の中に押し込めた内なる部分ーーー男らしさ/女らしさという一般的であり表層的なイメージの裏側ともいえます。恋愛対象や、芸術においてもそのアニマ/アニムスが影響されているといわれています。

本作は画家・金子國義氏の自宅敷地内で主に撮影されました。

金子氏の描く人物には、彼の無意識の中にもつ、内なるキャラクターの投影であると作家は感じました。時に小悪魔的な少女であったり、時に凛々しい男性像が作品の中で金子氏の分身として現れる・・・そのアニマ/アニムスの鱗片に金子氏の作品を愛する人々の魂も呼応し、「秘密にしておきたい大切なもの」のような感覚を覚えるのではないかと作家は考えました。主を失った金子國義の部屋に足を踏み入れると、宝石箱のようにきらきらとしたオブジェクトに埋め尽くされています。ヴィンテージのモード誌、シュタイフのぬいぐるみ、アンティークのランプーーー数え切れないオブジェクトの一つ一つに金子氏の愛と魂の吐息がかけられて、美しい亡霊か妖精のように訪れる人々を包み込みます。作家はその見えない魂のようなものを擬人化し、滅びゆく美しい部屋を写真におさめました。

そして同時に、これらの写真には被写体となった人々の内なるものも現れているでしょう。もしくは、それはあくまで作家自身のアニマ/アニムスの投影に過ぎないかもしれません。

須藤絢乃


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