「これはデュシャンではない」、ですか。藤本由紀夫、森村泰昌 二人展

森村泰昌氏,藤本由紀夫氏を迎え、美術家マルセル・デュシャンの仕事に関連づけた展覧会を開催致します。本展は国立国際美術館で開催の「マルセル・デュシャンと20世紀美術展(http://www.nmao.go.jp/japanese/kako.html)の会期にあわせて開催されます。森村・藤本両氏も同展で関連作品を展示致します。

展覧会タイトル: 「これはデュシャンではない」、ですか。 藤本由紀夫・森村泰昌二人展
2004年11月1日(月)-12月18日(土)日・祝休廊 Open: 11:00-19:00

マルセル・デュシャンの作品の続編ともいうべき藤本・森村による共作のエディション作品を中心に、個別の新作10点程度で構成。展覧会にあわせて森村作品の「身ごもるモナ・リザ」のトランプを制作。トランプは最終的に二人の合作のマルチプル作品の一部として使われることになる。

クロージングイベント
「モナ・リザとトランプが与えられたとせよ」(GIVEN: 1.MONA LISA IN ITS PREGNANCY 2.PLAYING CARDS)
完全予約制時間指定
藤本・森村共同制作のマルチプル作品予約者と、作家による儀式。
作品予約者には同イベントへの招待状が送られ、指定された時間に来廊。
予約者と両作家3名によって、密室の中である儀式が執り行われ作品が手渡たされる。

エディション作品:「モナ・リザとトランプが与えられたとせよ」
(GIVEN: 1.MONA LISA IN ITS PREGNANCY 2.PLAYING CARDS)
サイズ:A4版二つ折り
エディション:53
素材・技法:ハーネミューレ紙に森村作品「身ごもるモナ・リザ」の複製を印刷したトランプ1枚、各作品には森村泰昌オリジナルトランプひと組が付く

About


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「これはデュシャンではない」、ですか。
藤本由紀夫・森村泰昌
この展覧会は、故マルセル・デュシャンとの共同制作と両作家によって位置づけられている。左の図版は本企画の中心になるマルチプル作品。タイトルは、「トランプとモナ・リザが与えられたとせよ(再び)」。

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このエディションはマルセル・デュシャンが1965年の個展の内覧会の招待状にモナ・リザのトランプを一枚貼り付け「髭を剃ったL.H.O.O.Q」と書き添え送付したものを念頭において、その続編として制作されたものである。
デュシャンは市販のモナ・リザの複製トランプを使用したが、今回は森村が98年に制作した「身ごもるモナ・リザ」のイメージを使用したトランプを制作することからはじまった。

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会期中マルチプル作品の見本を展示し、エディションの予約者を募り、ある「儀式」への招待状を発送。会期終了後に儀式「モナ・リザとトランプが与えられたとせよ」を行い、招待状を持参した予約者一人ずつ作家二人といっしょに個室である行為が行われ、招待状にトランプが貼られ、モナ・リザに再び髭が戻され、なにかが手書きされて作品になった招待状を持ち帰ってもらう趣向である。「儀式」は2005年2月13日に執り行われた。
エディション数は53に決められた。一箱のトランプの札数である。予備の白いカードが一枚はいっており、それには髭だけ儀式の際に書き加えられることが決められタイトルは「モナ・リザとトランプが与えられたとせよ(忘れ物)」となった。(左図版参照・見本)

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展示会場風景
「モナ・リザとトランプが与えられたとせよ(再び)」、「同(忘れ物)」のサンプル額装が展示された他、2つの共同作品が置かれる極めてシンプルな会場となった。廊下をはさんだ小部屋には森村・藤本それぞれのデュシャン関連の作品が展示された。

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展示会場の窓辺には「秘められた音のために」という作品(トランプの箱)が置かれている。これは勿論同名のデュシャン作品に対応しているわけだが、トランプの箱に藤本・森村両氏がそれぞれなにかを入れすぐに封印したもので、振ると音がする。

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床には一点ぽつんとシュレッダーかゴミ箱のようなものが置かれている。この作品には「泉(fountain)」というタイトルが付けられている。会期中の作家の指示は、観客に50円で森村トランプ1枚を販売し、それをここで裁断するというものである。会場に置かれた解説書のなかには「使用料50円」という記述だけある。

Closing Event

「モナリザとトランプが与えられたとせよ」