卓上のバルコネグロ

森村は、京都市立芸術大学在学中、かつて『ライフ』誌等でフォトジャーナリストとして活躍した写真家アーネスト・サトウが教鞭を執る映像教室で学び、大きな影響を受ける。サトウは写真だけでなく、西洋のモダニズムの美学をアンリ・カルティエ・ブレッソン等の写真作品を通して生徒に教えたという。卒業後、佐藤の助手を長く務める。そして、1984年に「卓上のバルコネグロ」という、すべて室内で撮影した静物写真のシリーズを制作した。それは、手作りの小道具と、身の回りの家具、食器などを用い、テーブルの上や部屋で撮影された50点程の作品である。後の美術史のシリーズにも通じる綿密な画面構成や、手作りのオブジェ・小道具等森村作品の原点がすでに見られる。また、このシリーズには初めてのセルフポートレイトが数点含まれている。


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