谷原菜摘子展|ごらん、世界は美しい

会期|2022年12月3日(土)-25日(日)
会場|MEM  map
時間|12:00 – 19:00 (ただし、12月3日はイベントのため17:45までの営業)
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205
協力|株式会社SGC

[TALK EVENT]
出演|長谷川新 (インディペンデントキュレーター)、谷原菜摘子(画家)
日時|12月3日(土) 18:00-19:30
会場|MEM
定員|20名 事前予約制
ご予約はこちらから

 

本展タイトル「ごらん、世界は美しい」には、谷原独自の美学が込められています。光を吸収し反射の無いベルベットの漆黒に、鮮やかな色彩の絵の具とグリッターやスパンコールといった偏光素材を用いることによって、「自身の負の記憶と人間の闇とが混淆した美」を、谷原は描いてきました。深い森や、路地裏、夜の海や、黄昏時の畑、どこか寂しさや儚さを漂わせる場所は美しくもあり、不穏で陰惨な予感を抱かせます。どんなに恐ろしい場所であっても、その中で光る美に目を奪われた瞬間、想像と現実が交錯し、作品が誕生します。

初期作の夥しい装飾や小物で埋められていた二次元的な画面から徐々に変化し、近年では、美術史、サブカルチャーや現代の風俗が取り込まれることで、絵画空間に新たな広がりがでてきました。また最近、国文学研究資料館主宰の「ないじぇる芸術共創ラボ」のアーティスト・イン・レジデンスに招待されることで、日本の古典籍を紐解く機会ができ、それが作品に新たな要素を加えました。不可思議な事象と現実、歴史上の出来事や人物が強烈に混ざり合った作品群です。

今回初めての試みである三連画も展示致します。これは西洋の教会の祭壇画から着想を得、谷原の物語世界を続き絵で展開、豪華な金箔を張り込んだ額に収納した作品です。祭壇画を思わせる宗教的な仕立てと不条理な暗黒絵図の組み合わせです。

本展では、進化する谷原作品の新しい地平を、新作油彩7点と関連ドローイングでご覧いただきます。

 

谷原菜摘子

1989年埼玉県生まれ。2016年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了、2021年京都市立芸術大学美術研究科博士(後期)課程美術専攻(絵画)修了。2014年公益財団法人佐藤国際文化育英財団第24期奨学生、2015年第7回絹谷幸二賞、2015年京展・京都市美術館賞、2016年VOCA奨励賞、2018年京都市芸術新人賞、2021年第39回京都府文化賞奨励賞、梅原賞(京都市立芸術大学)などを受賞。黒や赤のベルベットを支持体に、油彩やアクリルのほかにグリッターやスパンコール、金属粉なども駆使して描く。2017年五島記念文化賞美術新人賞を受賞し、2017年秋〜2018年秋の1年間、旧五島記念文化財団の助成によりフランス・パリへ研修滞在。関西を拠点に制作活動を行なっている。

近年の主な展覧会に、個展「五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念 谷原菜摘子展 うきよの画家/紙の上のお城」(上野の森美術館ギャラリー、MEM、2021年)、グループ展「わたしたちの絵 時代の自画像」(平塚市美術館、2022年)など。