中里斉展|Painting Outside Part I

会期|2022年9月17日(土)—10月16日(日)
会場|MEM  map
時間|12:00 – 19:00
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205

 

中里斉(1936–2010)は、1962年に渡米。以後母校の多摩美術大学で教鞭を執った数年を除いて、生涯をアメリカで過ごした画家である。
当時中里が降り立ったアメリカは、抽象表現主義がその影響を失い始め、反動として大衆文化のイメージを美術に取り込むネオダダやポップアートが現れた時期であった。神聖な絵画の領域に日常の断片が喧しく侵入してきた。それは象牙の塔に籠もるハイアートに対する異議申し立てであった。全米の大学キャンパスでは、ベトナム反戦運動が展開された。ペンシルベニア大学を修了し、帰国する前にヨーロッパを旅した中里は、パリの五月革命にも遭遇した。体制への叛乱の時代であった。日本も学生運動の最中で、学校封鎖された多摩美術大学では、体制側の教師として自己批判を迫られる。そんな時代を通過した中里は、現代社会に生きる芸術家の矛盾に突き当たり、一時は絵筆を手放そうと思い詰めたが、画家としてあくまでも絵画の領域で絵画を超える仕事を追求する道を選んだ。
中里がアメリカで出合ったのは、最先端の版画技法であった。当時発明されたばかりの一版多色刷りをマスターしたことが、抽象絵画への展開につながった。版画は抽象的なフォルムを規則的に発展させるための重要なプラットフォームになった。本展は、70年代のミニマルのスタイルから80年代の色面構成の作品へ移行する変革期を中心に、版画での試行とキャンバス作品との関係を、2回に渡って紹介、考察する。

中里斉(なかざと ひとし)
1936年、町田市生まれ。多摩美術大学油画科を卒業後、北海タイムス社に美術記者として入社。1962年よりウィスコンシン大学大学院、ペンシルベニア大学美術大学院に学ぶ。1968年から3年間多摩美術大学で専任講師を務める。1971年、アメリカに戻ってからは、母校のペンシルベニア大学で教鞭を取る。2010年、町田市立国際版画美術館での個展開催中ニューヨークにて急逝。
パブリックコレクションとして、京都国立近代美術館、国立国際美術館、東京都現代美術館、大原美術館、ニューヨーク近代美術館、ブルックリン美術館等多数。

 


【関連展覧会】

大阪のアートコートギャラリーでも次の会期で中里斉展が開催されます。
「中里斉:1968–1971 東京」
会場:9月24日(土)-10月22日(日)
会場・主催:アートコートギャラリー
詳細>>>

 


 

Further readings

富井玲子 「Painting Outside: 中里斉の〈ポスト絵画の絵画〉を版画から考える」 2022年