三島喜美代
Kimiyo Mishima

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三島喜美代の作品について

1932年大阪市生まれ。1965年 シェル美術賞展佳作賞受賞。1970年代の初めまで絵画に取組む画家として主にコラージュによる平面作品で注目をあつめる。コラージュの作品にありがちな異質さや混沌とは無縁の印象を与える彼女の作風は、陶芸へ技法を転換した後も‘やきもの’が纏う素材感から逸脱した軽やかな表現として一貫している。
新聞や雑誌の紙面、商標の印刷された段ボール箱などの活字をシルクスクリーンで転写した代表的な陶芸作品は、やきものであることは認識できるが、眺めるうちに観る者の日常的な意識を徐々に転覆させるような作品である。紙で物を包んだような不定形なフォルムの上に英字新聞を刷り込んだ作品を陶器の処女作として国内で発表した後、陶芸の可能性をひろげる革新的な表現として、アメリカやヨーロッパでの日本現代陶芸展で多数紹介されている。1971年日本陶芸展選抜アメリカ・カナダ巡回展、1974年 ファエンツァ国際陶芸展(ファエンツァ、イタリア)金賞受賞、1980年 ヴァロリス国際陶芸ビエンナーレ(フランス)、1983年 現代日本美術の展望展(ジュネーヴ市立美術館、スイス)などへ出展。1986年〜87年にロックフェラー財団(ACC)の助成を受けてアメリカ・ニューヨークに留学。1990年 現代の土(東京都美術館)、1992年 現代日本陶芸展(エヴァーソン美術館、ニューヨーク、アメリカ)、1998年 国際巡回現代美術展日本・ブラジル98-99(サンパウロ美術館/リオデジャネイロ近代美術館 他)、1999年 関西の戦後美術1950’s-1990’s(和歌山県立近代美術館)、2006年 日本現代陶芸(ジャパン・ソサイエティ、ニューヨーク、アメリカ)、同年 日本陶芸の伝統と前衛(セーブル美術館、フランス)、他、国内・国際展へ多数出展。
日常生活で消費される大量の紙と、そこに印刷された情報や商標のイメージを凍結し現前させたような一連の陶芸作品のなかでも、特に直島に設置された大型の作品は、溶融スラグ(廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を1400℃以上の高温で溶融し冷却したガラスのような粉。建材として活用されている)を素材に用いて、モチーフである紙くずをゴミの原寸より肥大化させることで情報メディアとしての紙の氾濫とその顛末を象徴的に示唆している。モチーフである紙は元来、薄くはかないものだという認識のずれを生じさせる。現代社会に氾濫する情報という怪物がかたちをもった物質として目の前にあるという意識を与え、観る者を非日常へと誘発する作品である。
三島は「増えるばかりのゴミに恐怖を抱いた」と語る。生活に根ざした女性的な視点に起因した驚異的なインスタレーションは、環境問題を意識させる一方、過剰な情報に脅かされて生きる現代人の不安や恐怖感を、冷静なユーモアをもって示している。