博物誌

坂上版「博物誌」は、幻視者としての坂上の内的世界の住人であるさまざまな生物、無生物、友人たちについて「語った」ドゥローイングのシリーズです。作品は青いインク一色でアルシュ紙に描かれています。そのブルーの小さい素描一枚一枚には、彼女が敬愛する鳥類や微生物、原始生物の細胞やうつくしい鉱物、玄武や朱雀など神話上の動物が描かれおり、それにある「言葉」が添えられています。その言葉はまったく読む事ができないのですが、幸いなことに観覧者へは作品のタイトルが、それを解読するヒントとして提供されています。またそれら一つ一つの作品は有機的につながり、発展し、全体としてひとつの宇宙を形作っています。万葉集や、現代音楽が引用され、ドゥルーガル・ディクソンの人類滅亡後の未来に誕生する生物を扱った「The Future is Wild」に登場する生物が扱われています。生命誕生の不思議、我々が生きていることの意味、子供が最初に描く一本の線についてなどなどに思いを巡らされる、極めて示唆に富んだ作品です。


Top