「現代ストレート写真」の系譜
潮田登久子、牛腸茂雄、佐治嘉隆、関口正夫、三浦和人

会期|第一部 2023年12月6日(水)-24日(日)
会期|第二部 2024年1月6日(土)-28日(日)
会場|MEM  map
時間|13:00 – 19:00(12月9日と、1月27日はトークイベントのため観覧は16:30まで)
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205
入場|無料(トークイベントのみ有料)
協力|牛膓廣一、株式会社コンタクト、佐治いく子、佐治香菜子、佐治良太郎、鈴木一成(桑沢デザイン研究所)、PGI
※展示作品は第一部と第二部で全点入れ替わります。
※1月27日トーク終了後、19時よりクロージングパーティを開催いたします。クロージングパーティーは参加自由ですのでお誘いあわせの上ぜひご来場ください。

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第一部トークイベント
日時:12月9日(土) 17:00–18:30
登壇:飯沢耕太郎(聞き手・石田克哉)
チケットのご購入はこちらから

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第二部トークイベント
日時:1月27日(土) 17:00–18:30
登壇:潮田登久子、佐治いく子、島尾伸三、関口正夫、三浦和人
完売 チケットのご購入はこちらから
追加席 10名 チケットの販売は1月13日(土)9:00〜 

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各回 参加費:1200円、定員20名(要予約)、会場:MEM(NADiff A/P/A/R/T 3階)
※ご予約はMEMのオンラインストアからお申し込み、事前決済となります。
※トークイベント開催の日は、展示のご観覧は16:30までとなります。

 

2013年、MEMは牛腸茂雄没後30年の個展を開催いたしました。あれから10年、本展は牛腸没後40年を節目に改めて構想、企画されました。
牛腸の写真も含め当時議論されたコンポラ写真と呼ばれたスタイルや現象の正体は、何であったのか、そして、作品をそう呼ばれた当事者たちは、どういう考えを持って写真を撮っていたのでしょうか。牛腸らの、穏やかな目で身近な日常をストレートに捉えた写真は、体制批判と闘争を展開していた当時の評論家、写真家から厳しく批判されました。一方で、同時代的に同様の表現が多く生まれ、表現の拡散する今日にあっても共感を持ち脈々と受け継がれています。
本展は70年前後に一斉に興り注目された写真のスタイルが、ある時代桑沢デザイン研究所に在学した学生、助手、教師たちの不思議な縁がひとつのカタリストになって発展した背景を考察致します。

展示する写真家は、潮田登久子、牛腸茂雄、佐治嘉隆、関口正夫、三浦和人です。
関口は牛腸と『日々』という写真集を作りました。佐治嘉隆は牛腸とデザイン事務所を運営、三浦は今に至るまで牛腸の遺した作品の管理とプリント制作に携わっています。この四人の先輩でクラスで助手を務めていたのは、潮田登久子でした。石元泰博、大辻清司ら当時の教師の存在はさまざまな面で彼らの作品に影響を与えています。
第一部は、5人の写真家が主に桑沢デザイン研究所在学中に撮った写真、第二部は卒業以降の代表作をそれぞれ中心に展示致します。

本展に併せて、各作家(佐治嘉隆は妻の佐治いく子)、島尾伸三、飯沢耕太郎の文章と年表等資料を収録した展覧会図録を出版いたします。


「現代ストレート写真」の系譜 展覧会カタログ
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▼予約先
メール:下のアイコンをクリックするとメール作成画面が開きます。項目を明記の上、送信してください。

TEL & FAX:03-6459-3205(受付時間 展覧会営業時間に準じます)

▼概要
判  型|A5変型
頁  数|200〜250ページを予定
出  版|MEM
部  数|500部限定
税込予価|3,300円
2024年2月発売予定

▼内容
○出品作品図版
○エッセイ  飯沢耕太郎「『コンポラ写真』と『現代ストレート写真』」
○エッセイ  島尾伸三「精神のリレー」
○エッセイ 潮田登久子「花嫁修業」
○エッセイ 佐治いく子「佐治嘉隆との思い出」
○エッセイ 三浦和人「桑沢デザイン研究所から始まる日々」
○エッセイ 島尾伸三による関口正夫インタビュー
○出展者年表


作家関連展示

牛腸茂雄 写真展 “生きている”ということの証
会期|2023年11月3日(金・祝)-12月24日(日)
会場|市立伊丹ミュージアム(兵庫)

 

「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容
会期|2023年12月2日(土)-2024年2月4日(日)
会場|渋谷区立松濤美術館(東京)

 

三浦和人 写真展
会期|2024年1月18日(木)-30日(火)
会場|日本茶喫茶・ギャラリー楽風(埼玉)

 


展示作家略歴

潮田登久子
1940年東京生まれ。1960年に桑沢デザイン研究所に入学し、写真家の石元泰博、大辻清司の指導を受ける。1963年に桑沢デザイン研究所リビングデザイン研究科写真専攻を卒業し、1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所及び東京造形大学で写真専攻の講師を務め、牛腸茂雄や児玉房子らと親交を深める。1975年頃よりフリーランスの写真家として活動を始める。1976年に初個展「微笑みの手錠」(新宿ニコンサロン、東京)を開催。1978年には長女を出産し、島尾伸三と結婚。代表作に、さまざまな家庭の冷蔵庫を撮影した『冷蔵庫/ICE BOX』(光村印刷、1996年)、1995年より撮影を始めた本と書架の環境を主題とした「本の景色/BIBLIOTHECAシリーズ」を『みすず書房旧社屋』(ウシマオダ、2016年)、『先生のアトリエ』(ウシマオダ、2017年)、『本の景色』(ウシマオダ、2017年)の三部作にまとめた。2018年に第37回土門拳賞、日本写真協会作家賞、第34回東川賞国内作家賞、2019年に桑沢特別賞、2022年写真集『マイハズバンド』(torch press)がParis Photo–Aperture PhotoBook Awardsで審査員特別賞を受賞。近年の主な個展に2022年「マイハズバンド」(PGI、東京)、2023年「永遠のレッスン」(横浜市民ギャラリーあざみ野、横浜)など。
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牛腸茂雄
1946年新潟県南蒲原郡加茂町(現・加茂市)で金物屋を営む家に次男として生まれる。3歳で胸椎カリエスを患い、ほぼ1年間を寝たきりの生活で送る。10代から数々の美術展、ポスター展などに入選。1962年新潟県立三条実業高等学校商業科に入学し、商業美術部に所属。1965年デザイナーを志して上京し、桑沢デザイン研究所リビングデザイン科へ入学。1967年に同校教員であった写真家・大辻清司の強い勧めで研究科写真専攻へ進む。1968年桑沢デザイン研究所を卒業し、デザインの仕事と並行して写真を撮り続ける。1971年初の写真集『日々』(自費出版、限定1000部)を桑沢時代の友人、関口正夫と共著で出版。1977年、『SELF AND OTHERS』(白亜館)を自費出版。1978年、本写真集と展覧会により日本写真協会賞新人賞受賞。1983年、体調不良のため帰郷し、静養を続けるが、6月2日、心不全のため死去。享年36歳。1992年に飯沢耕太郎が編集長を務めた写真雑誌『deja-vu』第8号で特集が組まれる。2004年には回顧展「牛腸茂雄 1946-1983」(新潟市立美術館、山形美術館、三鷹市民ギャラリー)が開催される。没後30年にあたる2013年、『こども』(白水社)、新装版『見慣れた街の中で』(山羊舎)が相次いで刊行される。没後40年にあたる2023年には『牛腸茂雄全集』(赤々舎)が刊行され、回顧展も東京、伊丹市で開催された。

 

佐治嘉隆
1946年愛知県生まれ。高校2年生に美術部へ入部し、3年生の休みには東京の美術予備校へ通う。グラフィックデザイナーを志し、1965年桑沢デザイン研究所リビングデザイン科へ入学。基礎科で写真に興味を持ち、3年目の研究科では写真専攻に進む。大辻清司の指導を受け、牛腸茂雄等と授業を共にする。1968年に桑沢デザイン研究所を卒業し、カメラマンの助手を経て1971年よりフリーランスとして建築模型やインテリア、音楽雑誌『ライトミュージック』などの撮影を行う。仕事の幅を広げようと早川書房にフォトコラージュを持ち込み、1973年『SFマガジン』のトマス・M・ディッシュ「創造性の問題」に採用され、2020年12月まで早川書房の挿絵や表紙を多く手がける。1976年よりアメリカン・スクール・イン・ジャパンの視聴覚技師を務める(2011年まで)。1978年牛腸茂雄とデザイン事務所ギャラクシーを設立し、学研のキャラクターの版下などを制作(1983年まで)。1992年家族で初めてバリ島を訪れ、以降定期的に訪れ1998年にテガララン村にアトリエを構える。18年間撮り溜めたバリの写真を『Melting point – Bali』(自費出版、2010年)にまとめる。2014年写真集『時層の断片』を自費出版し、同名の個展をESPACE BIBLIO(東京)にて開催。2019年個展「バリの東、鏡のむこう」(ESPACE BIBLIO、東京)を開催。2020年74歳の誕生日を迎えた数日後、肺腺癌のため死去。
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関口正夫
1946年東京生まれ。小学生の頃は草野球の傍ら、絵画教室でデッサンを習い、3年次に校内の写生大会で優秀賞を受賞。この経験がのちにデザインの道を志すきっかけとなる。1964年御茶の水美術学院へ入学。1965年桑沢デザイン研究所へ入学し、グラフィック・デザイン科を経て、3年目に研究科写真専攻へ進み、大辻清司の指導を受け、牛腸茂雄等と授業を共にする。研究科での春のメーデーを撮影する課題を通して、スナップショットの魅力にめぐりあう。1968年に桑沢デザイン研究所を卒業し、建築設計事務所アトリエ・ブロックでアルバイト、写真家・秋山実の助手などをつとめながら自作品の撮影を続ける。1970年河野鷹思事務所デスカへカメラマンとして入社。1971年、牛腸との共著『日々』(自費出版、限定1000部)を出版。1988年初個展「日々片々」(ルナハウス、新宿)を開催。2002年から2005年の間に4回の連続個展「こと」(Contemporary Photo Gallery、新宿)を開催し、30年以上撮り続けたスナップ写真をまとめた写真集『こと 1969­–2003』(自費出版、初版限定500部)を出版。

 

三浦和人
1946年東京生まれ。幼少期は草野球に興じる一方、絵画教室に通いデッサンを習う。父の勧めもあり印刷やデザインを学べる高校へ入学し、この頃から安価な二眼レフカメラを遠足や修学旅行へ持参したが、撮っても失敗ばかりで写真に興味を持つには至らなかった。1964年御茶の水美術学院へ入学。1965年桑沢デザイン研究所へ入学し、2年次にインダストリアル・デザイン科に進級し講師の目島計一からの組写真の課題で街中を歩き回って撮影したことでスナップ写真の魅力に気づく。3年次には研究科写真専攻へ進み、大辻清司の指導を受け、牛腸茂雄等と授業を共にする。1968年に桑沢デザイン研究所を卒業し、凸版印刷本社アイデアセンター写真部に勤務。1970年藤森武写真事務所助手を経て独立。1975年に結婚し、1986年には一家4人で中国に一ヶ月滞在し、その体験を『もうひとつの天安門­-親子で見てきた中国』(創和出版、1990年)にまとめる。1989年の初個展「On the record」(FROG、新宿)を皮切りに、1996年まで同名の連続個展を10回開催する。1998年に写真集『会話 correspondence』(Mole)を出版。牛腸茂雄が残したネガフィルムや関連資料を管理し、牛腸の写真展や写真集の監修も数多く務める。

 

執筆者略歴

飯沢耕太郎
1954年宮城県生まれ。写真評論家。1977年日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。筑波大学大学院に在籍中、同学で教鞭をとっていた大辻清司の自宅で毎月開催されていた若い写真関係者が集う研究会に参加し、写真史家・金子隆一らとの交流が始まる。1985年「つくば写真美術館‘85 パリ・ニューヨーク・東京」展の準備に関わり、以降『日本写真全集』(小学館、1985–88年)、山口県立美術館で開催された戦後写真連続展(1989–91年)、「日本写真史展」(ヒューストン美術館、2003年)など多くの展覧会、出版物に携わる。1990年から1995年まで写真雑誌『deja-vu』の編集長を務め、写真家と評論を掲載し現代写真の動向を捉え続け、1992年発行の第8号では牛腸茂雄を特集した。

主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『深読み! 日本写真の超名作100』(パイインターナショナル 2012)、『現代日本写真アーカイブ 震災以後の写真表現2011-2013』(青弓社、2015)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社、2017)、『写真集の本 明治~2000年代までの日本の写真集662』(カンゼン、2021年、打林俊との共著)など。幅広いメディアに写真評論を多数寄稿し続け、執筆活動のほか、写真展覧会の審査、企画等も手がける。

 

島尾伸三
1948年兵庫県神戸市に、作家の父・島尾敏雄、母・ミホの長男として生まれる。母の故郷である奄美大島で育つ。1970年東京造形大学に入学し、同校写真専攻のメンバーと共に自主ゼミ運動の一つとして写真同人誌『number』(全11巻)を刊行。1974年東京造形大学造形学部写真専攻科卒業。卒業後は写真現像所(黎明社)に勤め、1975年に初個展「China Town」(ガレリア・グラフィカ、銀座)を開催するなどフリーランスの写真家として活動を始める。1976年から1年半ほど新宿で開廊していた自主ギャラリー、「フォト・ギャラリー・プリズム」の活動に参加。1978年大辻清司という共通の師を持つコミュニティーの中で出会った潮田登久子と結婚し、同年長女真帆が誕生。家族を被写体に日常を写した写真集の出版や展覧会を開催し、エッセイストとしての著作も多数出版。1979年写真史家・金子隆一らと写真同人誌『camera works tokyo』(全12巻)を刊行し、第3号で「牛腸茂雄の微笑返し」を寄稿。潮田登久子との共同作業による中国、香港、マカオなどアジアの庶民生活のリポートを続け、『中華人民生活百貨遊覧』(新潮社、1984年)など多くの著作にまとめている。主な著書に『季節風』(みすず書房、1995年)、『生活』(みすず書房、1995年)、『まほちゃん』(オシリス、2001年)、『東京~奄美 損なわれた時を求めて』(河出書房新社、2004年)、『中華幻紀 島尾伸三写真集』(オシリス、2008年)、『禁産趣味者宣言』(ウシオマダ、2008年)など。
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第一部 ○ 展示記録写真