池田一憲 展「虚空蔵菩薩への祈り」

会期|2024年10月8日(火)-27日(日)
会場|MEM  map
時間|13:00 – 19:00
   [10月12日はイベントのため14:00–17:30まで通常観覧はできません]
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205
協力|梅原賢一郎、大谷芳久(かんらん舎)、本田健、三潮画材

 

鼎談企画
「鍬と絵筆の間で」
日 時|10月12日(土)15:00–
登壇者|土方明司(川崎市岡本太郎美術館館長)、江尻潔(足利市立美術館次長)、池田一憲
会 場|MEM
参加費|1200円
定員20名・要予約

※対談はライブ配信、およびアーカイブ動画の後日配信も有ります。
※鼎談終了後に同会場で17:30〜懇親会を開催いたします。(参加無料)

↓↓会場参加チケット、オンライン配信チケットはこちらからお申し込みください

 


 

島根県の山間部で長年農業に従事しながら絵画制作を続けてきた池田一憲の個展を開催します。展覧会タイトルの《虚空蔵菩薩への祈り》は、本展で初めて展示される、池田が長年かけて描いてきた油彩の題名でもあります。

池田は、島根県那賀郡旭町に昭和十七年に生まれました。国鉄広島第一機関区に入社した頃から独学で油彩を描き始めます。その後、実家の田んぼを受け継ぎ農業をしながら絵を描いていきます。その作品には、農夫として生活をする池田の目を通した山里の風景と人間、地方の歴史と民間伝承、仏教世界が自由自在に織り込まれています。

哲学者の梅原猛は昭和四十年、調査で訪れた島根県旭町の町役場にかかっていた絵を見て言いようのない衝撃を受けます。それは、池田が十九歳のときに描いた油彩《ふるさとを守る人》という絵でした。

「あの石見の町で見た絵ほど私の魂に強い感動を与える絵が、私の一生涯に現れるかどうか、疑問に思うのである」と後年梅原は述懐しました。その後池田は梅原によって画壇に紹介され、東京の青木画廊で個展を開催。美術評論家の末永照和は、昭和五十年の美術手帖で「きびしい自然、農民の生きざま、民話と地獄図と怪異幻想のイメージを、緻密きわまる描写と、とざされた遠近法によって追いつめてきた」と池田の絵画を評しました。同じ頃、画商で作家の洲之内徹は、島根の山間部の匹見まで池田を訪ねて行き、そこで「とほうもない人物」に会ったときの体験を芸術新潮に連載の「気まぐれ美術館」に執筆しました。

池田自身は画壇の喧噪とは離れたところに身を置き、自身の主題を抱え、画布に向かう日々を今も続けています。

本展では、貴重な初期作品である《ふるさとを守る人》、父と思われる農夫の大きな背中を幻想的な棚田風景に描いた大作《歩む》、そして新作《虚空蔵菩薩への祈り》を含め、池田一憲の絵画世界の魅力を一堂に紹介致します。

 

 


池田一憲 (Kazunori Ikeda)
1942年島根県生まれ。1962年県立浜田高校今市分校農業科卒業。その後国鉄広島第一機関区に入社し、油絵を描き始める。県美展、職場美術展、平和展などに参加。1966年に退社後は島根の山間部で農業をいとなみながら、絵画制作に専念している。ふるさとの町役場に寄贈した作品を通して哲学者の梅原猛と出会う。1975年東京の青木画廊、1978年銀座セントラルアネックスなどで展覧会を開催。1984年作品「釈迦十大弟子」(10点) を完成。著書には絵本『三井の晩鐘』(1981年、文・梅原猛)、詩画集『博物誌』(1982年、文・閤田真太郎)。主な展覧会に、1988年「私の釈迦十大弟子」西武百貨店(東京、池袋)、1990年個展「池田一憲 作品展」俵屋画廊(京都)、2004年個展「池田一憲展」柴田悦子画廊(東京、銀座)、2008年個展「石見の作家展 池田一憲」浜田市立石正美術館ギャラリー(島根)、2017年「第2期 ヒロセコレクション 3 池田一憲、若林砂絵子 展」ヒロセコレクション(広島)、2019年「彼方 / 此方 −Visionaries 2−」MEM(東京、恵比寿)、2024年「池田一憲、本田健二人展:霧のふるさと」など。