松井智惠、中村敬治:『一度もデートをしなかった We Never Went Out on a Date』

ロバフィルム舎刊。中村敬治氏による松井智惠作品の批評、松井智惠による作品解説、エッセイ、ドローイング。「横浜トリエンナーレ2005」出展作品を含む映像三作品収録のDVD付属。A5変型サイズ、230頁(日英表記、カラー図版含む)
3,000円+税(限定1000部)
「ヒマラヤ」(2003年、37分)
「HEIDI 44」(2004年、38分)
「HEIDI 45」(2005年、15分)

松井智惠は、1980年代より活動を始め、1990年代のヴェネチア・ビエンナーレ・アペルト’90への参加や、1995年の東京都現代美術館開館展「日本の現代美術」などのグループ展における大規模なインスタレーションなど国内外で活躍しています。近年は、映像とパフォーマンスを駆使した寓意的な内容をもつ作品が主流になっています。
 中村敬治は、批評家として最後まで作品評や、展覧会評を書き続けました。その間の国立国際美術館や、ICC在籍中には、厳選された重要な展覧会も残しています。加えて、中村敬治は近年では珍しく、紹介記事でも論文でもない「批評」の領域に生をかけて踏みとどまり続けた唯一の人物であったと言えます。そして、松井作品を初期から見つづけ、評価し、作家活動を支えてきました。
 中村と、出展作家であった松井は「横浜トリエンナーレ2005」を契機に、文章と映像作品のDVDを組み合わせたものを作成しようと計画しましたが、完遂されず、この本は中村の他界後、松井の視点でまとめられたものです。
 本文は、遺稿となった中村による展覧会の企画案をはじめとする批評文、それに呼応するように、松井本人によるエッセイや、詩、ドローイングを織り交ぜて構成されています。DVDには、本文で言及されている映像作品が収められています。
 近年の日本の現代美術の中で、着実に活動を続けた美術家と批評家の二人三脚の20年以上にもわたる軌跡が、色濃く刻まれています。

松井智惠 プロフィール

1960年生れ。1982年より作品発表をはじめる。故中村敬治氏の企画により、彫刻家・今村源氏と『近作展 7』1989年に旧国立国際美術館にて発表。大規模な壁や、階段でできたインスタレーションを制作する。1993年より、寓話の源泉をたどるシリーズの作品を始める。2000年より、自身が作ったインスタレーションの空間を撮影したビデオ作品から、映像作品を作りはじめる。寓意の入れ物としてインスタレーションを捉え、自身の動きを寓話への触媒として作品化している。

中村敬治 プロフィール

1936年生れ。同志社大学専任講師、国立国際美術館主任研究官、NTTインターコミュニケーションセンター副館長・学芸部長を務める。著書に『現代美術/パラダイム・ロスト』(水声社、1988年)、『現代美術/パラダイム・ロスト?』(水声社、1997 年)、『現代美術巷談』(水声社、2004年)がある。美術批評家として、作品をくまなく見て歩き続ける。2005年3月24日逝去。