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autumn


水田寛 展『鳴らない太鼓』

会期|2017年9月2日(土) – 10月1日(日)
会場|MEM map
営業時間|12:00-20:00 
定休日|月曜休廊 [月曜祝日の場合は営業し、翌日休廊]
電話|03-6459-3205

[作家対談企画]
日時|9月2日(土) 18:00〜
会場|MEM
ゲスト|関 昭郎 (東京都庭園美術館 事業企画係長)
参加無料
*対談終了後、オープニングレセプションを開催

 木枠に張ったばかりのキャンバスは、指で弾くと、太鼓のように良い音がする。しかし、そこに絵を描き始めると、筆圧や絵具の重さなどによりたるみが生じ、徐々に音は鈍くなっていく。この現象は、描けば描くほど失われるものがあるということをありのままに物語っているかのようだ。何かが絵になっていくとき、その何かは本来の性質や、存在感のようなものを失っていく。
 それら失われてゆくものをいかに残し生かすかが、絵画の勝負所ともいえる。キャンバスが絵でしかなくなってしまう前の、絵でもなくキャンバスでもない、あらゆる解釈から浮遊しているような魅力的な状態をどのように保つかは、良い作品をつくる上で大変重要となる。
 しかし、果たして描き手の着地点は、そこにしかないのだろうか。描きすぎること、失われすぎることにおびえながら、常に慎重でいなくてはならないのだろうか。私はむしろ、キャンバスが絵でしかなくなってしまった後、あるいは、キャンバスが木枠に張られる前、つまり描くという行程の外側にそうした絵にまつわる窮屈さを打ち破る手だてがないか探している。
 キャンバスが鳴らない太鼓になることを恐れずに絵を描く術があるとしたら、一体どんなものだろうか。

(水田寛)