松井智惠個展『ヒマラヤ』

第一部「ヒマラヤ/カイダン」2003年10月10日(金)〜10月30日(木)
第二部「ヒマラヤ/レインボウ」 2003年11月4日(火)〜11月22日(金)

Press Release

松井智惠の新作を2部にわけて発表致します。
松井は、80年代より、白い壁に囲まれた大規模な構造体が特徴の「水路」シリーズを発表。90年代にはいってからは、寓話的な要素を取り込み、毛皮やノコギリなど触感を刺激する素材を用いた「Labour」シリーズを展開。
1997年には日本でも数少ない本格的なインスタレーションを制作する女性作家として、ニューヨーク近代美術館のproject展に招待されました。他サンタモニカ美術館やバンクーバーアートギャラリー等海外でも作品を発表し続けています。
松井の作品は様々な素材からなるオブジェや、寓意的なドローイングによって構成された、繊細な空間が特徴です。身体・精神と空間の関わりや、ジェンダーの問題、変化する記憶の引き出しや寓話と社会の関係等さまざまなテーマについて言及がなされています。
近年は、作家自身がある基本的な動作を継続・反復する映像作品を発表しはじめています。
今回は、松井作品の魅力をあますことなくお見せするため、映像作品の新作を含めたインスタレーションを見せる第一部と、虹色に光る特色ある素材を使用した平面作品だけで空間構成をした第二部を連続して開催致します。映像作品は、当画廊がある新井ビルの螺旋階段を舞台にしています。

作家コメント

HIMALAYA

ヒマラヤはずっとそこにある。
わたしたちの営みをずっと前から知っていて
「ああ、またか。」と
一呼吸する間に
生と死は限り無く繰り返される。
私はヒマラヤには多分行くことはないだろう。
ヒマラヤはとても有名で
いつその名前を知ったのかもおぼえていない。
元から私の中に「ヒマラヤ」はあったのだ。
だから近くて遠く、遠くて近い。
郵便配達員でさえゆけないところ
重力から、この地から、離れたいと思う憧れ
かつて知っていたところへの憧憬。
しかしこの重力の地に帰属することの暖かさ。
苦渋に満ちて、かつ喜びに満ちて。